top of page
Featured Posts

"造形"ではなく"造詣的"である事を突き詰めてAPOCRYPHA. デザイナー・播本鈴二


すっかり秋も深まり、今にも冬が訪れそうで、時の流れの速さに驚いておりますが、初のランウェイを終え、10月上旬にASOBINoBA・新潟で22SSの受注会を開催してくださった"APOCRYPHA.(アポクリファ))、その際に行なったデザイナー・播本氏との対談をお送りいたします。







まずは、ざっくりとAPOCRYPHA.との出逢いについて。

初めて展示会にお伺いできたのが、20AW シーズンテーマは"THE LEADER"でした。その時の衝撃は未だに鮮明に覚えているのですが、とにかく作り込みに妥協がない。アイテムはもちろんのこと、世界観までとことんに。

僕はおそらくこの時から、APOCRYPHA.播本さんのモノづくりに惚れたのだと思います。

そして NOUVERTEmagazine/ASOBINoBAでは、20AWシーズンよりお取り組みがスタート。

ファーストシーズンの20SSではポップアップストアとして期間限定でお取り扱いさせていただきました。



21SSシーズンから新潟・ASOBINoBAで受注会を開催し、そこから毎シーズン本当にありがたいことに、お忙しいスケジュールの中、APOCRYPHA.のデザイナーの播本さんとディレクターの長谷川さんのお二人は新潟にお越し下さるんですよね。


個人的にですけど、"受注会"ってあんまりたくさんはしたくはないんですよ。あんまりたくさんはしたくないって言うとせっかく新潟にお忙しい中いらしてくださっているのに、失礼ですし、語弊が生まれてしまうので付け加えると。


やっぱりお買い物ってその季節の気分もあるだろうし。

受注会をやればやるほど、特別感も薄れてしまうだろうし、凄くビジネスライクにも見えてしまいますし、それにブランド側にも様々な負担がのしかかってしまいますしね。


それでも、めちゃくちゃハードなスケジュールの中、新潟に行きたいんでやりましょう!と言ってくださるお二人。それに加えて、せっかくいらっしゃるお客様には存分に楽しんで欲しいので、と特別感を出す為の空間づくりまで抜かり無く。

決して簡単なことではないので、本当にありがたいですよね。。。


あんまりたくさんはやりたくないとは言ってもやはり受注会は大好きです。

作り手と売り手と買い手が一緒の空間にいるというある種異常な空間。

3者揃ってコレクションのお話から、プライベートに至るお話までざっくばらんになんてことは普段はありえないですからね。

それに街、お店、そしてお客様の雰囲気だったりってどうしても、お話だったり、SNS上だったりだと、どうしても伝えきれないのですが、そんなざっくりとしか伝えにくいところまで、直接感じていただけます。


そしてなんといっても、たくさんのコミュニケーションが取れる。

そうするとやはり面白いアイディアが生まれる訳です。そうやって別注アイテムが生まれたりすることもうちのお店ではよくある話で。




*21AWの別注アイテムになります。インタビューを読み終えてから、ぜひチェックしてみてください。



今回はそんな受注会で生まれた会話の一コマ(真面目な部分だけを切り取って)まとめてみました。

(前置きが長くなってしまい、すみません。。。)



 


TAKEBE(以下T)シーズンテーマについて見返してみると、ファーストシーズンの20SSが"THE ENTERTAINER"でその次の"20AWが"THE LEADER"、21SSが"THE SYMBOLIST"で今シーズンの21AWが"THE REJECT"と共通して"THE 〇〇"というテーマを掲げているじゃないですか。

これって何かREIJIさんなりの拘りだったり、想いがあるのかなと思っていて。


REIJI(以下R)

コレクションのタイトルってどうしても単語になるんですよ。でも単語の意味だけじゃ本当に伝えたいことが伝わらないんですよね。

例えば、21A/WのタイトルはTHE REJECTですけど、直訳すると拒絶って言う意味なんです。

でも決して拒絶を描きたいわけではなくて。太平洋戦争終戦時、日本はポツダム宣言を受諾するか否かの中、受け入れることもなく、拒否することも意図せず、時期尚早と判断し、答えないと発表したところ、メディアは黙殺と伝えたんですよね。それが海外向けに翻訳されるときに、なぜかrejectと訳されたんです。


つまり、このrejectにはものすごい文脈が付き纏うわけじゃないですか。前後の背景があって、その中にその単語が存在して。だからただのrejectではなくて、THEが付くんです。


THEを付けることで自ずと想像させたいんですよね。まだなんかあるんだよって。


これはやりたいことを決めて、それに伴ったものづくりや表現とは別で日常や社会情勢において感じた憤りや感動のような様々な感情の中から引っ張り出したタイトルで、テーマなんだよって言いたいんですよね。





T:そうそう、REIJIさんのものづくりって物語だったり、歴史的な文脈だったりがあって、そこに感情が乗っかってますよね。特にひときわ感情が反映され、繊細なシーズンに感じたのが、21SSが"THE SYMBOLIST"。シャルル・ボードレールの著書『惡の華』の細かすぎるほどに描かれた人物像とその人の感情描写が、

REIJIさんの心境の変化や内面の変化とすごくリンクしていたように思えたんですよね。

そういったものづくりが凄く人間らしくていいなぁって思うんですよね。


R:ありがとうございます。そう言ってもらえるのは凄く嬉しいんですよね。

基本、綺麗で繊細なものづくりしてるって言われがちなんですけど、そこからそう言った精神的な側面を感じてもらえるのは凄くありがたいです。

僕らって、良くも悪くもアーティストではないし、服屋なんですよね。だからアートって僕らがやるべきことだとは思わないんですよ。あくまでも服を作るべきだと。

自己満足も嫌なので僕は常に社会に於いて何かしらの問題提起だったりをして、少なからずそれを見て触れた人達と服と通して対話していたいんですよね。それが何かのきっかけになったり、それを着る人や見る人の文脈の一部になればいいなって。

エンターテイメントよりも文芸がやりたいんです、服をツールにして。




T:だからこそREIJIさんのものづくりって凄く力強さもあって、凄くリアルだなって思うんですよね。

このリアルってシンプルで着やすいっていうんじゃなくて、再現性の高さというか。


R:そう。1番大事にしているのは着る人のことを前提にしたホスピタリティですね。世の中にはすごく"造形"的に優れたものも沢山あって、それはそれで素晴らしいと思うんですよ。意味もなくかっこいいもの。でも僕はさっきもちらっと言ったけど、アート作品を作っているわけではないので、ただかっこいいもの作るって言うのはやりたくないんですよ。軍ものだったりワークウェアもそうなんですけど、圧倒的にカッコいいじゃないですか!笑



それってディテールが理に適ってるからそう見えるんですよね。

例えば、何もディテールの入ってないコートのトワルを組みます。それを実際に着用して、無意識にポケットに手を入れる動作をするんですよ。そこにポケットを作る。ポケットの口の角度だったり深さだったりも、それで決めると、なぜか最もかっこいい見え方になるんですよ。恐らく人は長い歴史の中で洋服に身を包んで、それらの動作を自然と行う中で無意識にそれが自然で違和感なく認識するようにできているんだと思うんですよね。そしてそうやって作られた物はどんな人がどう着てもカッコよくなるんですよ。だから僕は"造形"ではなく"造詣的"である事を突き詰めていきたいな、と。


パターンに於いてもただかっこいいシルエットを突き詰めるのはすごく大事なんですけど、プレタポルテって良くも悪くもブランドのミューズに向けてのオートクチュールと変わんなくて。パターン場でどこに点を置いて、どう線で繋ぐのかを意識すると、誰が着ても綺麗に落ちる肩だったり、袖だったり、それに伴って変化する身幅だったり、と面を高い精度で突き詰めて理想のシルエットを独自の理論で再現出来る事が僕が服を作る強みだと思ってます。



 


新潟の皆様へ


初めて新潟に来た時、大阪や東京とは全く違ったファッションの文化に驚いたんです。街を通してコミュニティができてると言うか、独特の文化を感じて。物凄くファッションがリアルに感じたんですよね。ブランド始めてから最初に受注会に立ったのがASOBINoBAさんでした。沢山の人に興味持ってもらって、お話しさせてもらって。日常の中にファッションがある事を改めて教えてもらえました。神格化されがちなデザイナーという職業を一作り手として紹介してくれたASOBINoBAさんには本当に感謝していて。

これまでお会いした方々には刺激を受ける事も多く、それに呼応した物作りをしたいと思う事も多々あります。デザイナーは常にバイヤーの方々、メディアの方々、より多くの人の心を動かす物作りを求められる中で大きい壁にぶち当たったり、ブレたり、スランプに陥る事は日常茶飯事ですが、パターンを引く時にその一本一本の線にそれを纏う人への想いを乗せる事で前に突き進む事ができるんです。いつも顔を出してくれる人、毎回会う初めての人、一人一人のちょっとした言葉や表情で我々デザイナーは更に成長するんですよね。そういう人達へ向けてどれだけ苦しくても前向いて進まないとなって思えるんです。ショーをやるのも恩返しじゃないですけど、そうやって向き合ってきてくれた人達に少しでもワクワクして欲しかったり、一緒に感動できたらな、って想いがあるんです。僕にとって新潟は、とても大きなきっかけをくれた人達が集まる街なんです。

毎シーズン、行く度に少しずつ変わって行く皆さんを見ていると本当に感化されます。皆さんと同じように、僕も少しずつ前へ進もうともがいているので、同じ目線で我々の物作りをこれからも見ていて欲しいです。


APOCRYPHA. REIJI HARIMOTO






 
 
 

Comments


Recent Posts
Archive
Follow Us
  • Black Facebook Icon
  • Black Twitter Icon
  • Black Pinterest Icon
  • Black Instagram Icon
bottom of page